「医学部を語る〜全国編〜」イベントレポート(2016年夏実施)

2016年夏、全国各地8つの会場にて、代々木ゼミナール・Y-SAPIX共催セミナー「医学部を語る」を開催しました。

医学部医学科全体の動向や今後の展望を分析した第1部全国編に続き、第2部として、各地の医学部に焦点をあて、近年の入試状況や対策等についてお話ししました。

医学部は狭き門?

医学部新設と定員増加

2016年、最も大きなニュースは37年ぶりの医学部新設でしょう。仙台市の東北薬科大学は東北医科薬科大学に名称を変えて、今年度から医学部をスタートさせました。それに加え既存の医学部でも定員増がありました。2016年度、国公立では筑波大学(8名)と長崎大学(2名)、私立では順天堂大学や東海大学など7大学で、計17名が定員を増やしています。

更に2017年度には、国際医療福祉大学に医学部が新設され、1期生の募集を開始します。定員は140名(うち20名は留学生)です。

しかし、2020年を過ぎると一転して、定員数の削減が予想されます。なぜなら、これまでの増員により医師不足は解消され、以降は医師の供給数が過剰になると言われているためです。医療現場のこうした影響を受け、医学部医学科の定員数も減少へと転じる可能性があります。

定員増も狭き門に変わりなし

2016年度 定員数と志願者数の増加率(2007年度との比較)

2016年度 定員数と志願者数の増加率(2007年度との比較)

18歳人口は受験生の数の目安になります。1992年に205万人だった18歳人口は、2008年には約120万人に減少し、その後横ばいが続きましたが、2021年以降は再び減少が加速することが予想されています。受験生の母集団が減少傾向にある昨今、医学部の志願者数はどのように移り変わっているのでしょうか。

医学部全体の定員は2007年に比べて約22%も増加しました。定員数が増加し、一見入りやすくなったように思われますが、実はそうではありません。志願者はこれを上回る勢いで増加し、34.6%もプラスになりました。

医学部受験については、むしろ競争が激化していると考えられます。いまなお一層の対策と心構えが重要です。